リレーションシップ・マーケティング

顧客や取引先との関係に気を配ることはビジネスの基本といえます。顧客や取引先と良い関係を築くことがビジネスに成功をもたらすという考えに共感される方も多いでしょう。しかし意外なことに、マーケティングにおいて顧客との関係が真剣に論じられるようになったのは比較的最近のことです。

顧客との関係に着目することで、優れたマーケティング成果を達成しようとする考えを「リレーションシップ・マーケティング」といいます。リレーションシップ(relationship)とは関係性という意味ですので、日本では「関係性マーケティング」ともいわれます。

リレーションシップ・マーケティングは顧客との間に友好的で安定的な関係を築くことで、長期的にみて、好ましい成果の実現を目指します。ひとことでいえば良い関係づくりを目指すマーケティングです。こう書くと随分とあたりまえで、単純なことに思われるかもしれません。しかしそこにリレーションシップ・マーケティングの罠があります。

そもそも「関係」とは何でしょう? どのようにしたら測ることができるのでしょう? いつも何気なく使っている言葉なのに、いざ説明を求められると戸惑ってしまいます。

ここにリレーションシップ・マーケティング」のポイントがあります。私たちは「得体の知れないもの」をマネジメントすることはできません。「関係とは何か」をしっかりと理解できていなければ、良い関係づくりも徒労に終わりかねないのです。

リレーションシップ・マーケティングにとって不幸だったのは「売り手と買い手の結婚」というメタファー(隠喩)が使われたことでしょう。その心地よい響きから、関係とは何かが十分に理解されないまま、結婚というメタファーが独り歩きを始めました。「これからのマーケティングに必要なことは、顧客としっかりと手を結び、幸せの階段を登ることだ」といった「絆づくりの幻想」がビジネス書を中心に声高にさけばれたのです。しかし売り手と買い手の関係は、そんなに甘いものでしょうか。

リレーションシップ・マーケティングをマスターするには、「顧客はなぜ取引先との関係を大切だと思うのか」という原点に立ち返ることが大切です。肌感覚では分かっていることを、ひとつひとつ、ていねいに検討して行くことで、奥深い論理が形成されるとともに、あらゆる場面で役に立つ基本的な戦略が導かれるはずです。